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羊と鋼の森

17歳の僕は、その人を体育館のピアノに案内したときに、僕の人生は決まった。

羊の毛をハンマーが叩いて音を出す、ピアノという楽器の調律師。

才能はなかった。でも、他に道はなかった。

羊と鋼の森」 宮下奈都 文芸春秋

賛否両論、いろいろありますが。

何も起きない、主人公が成長しない、調律という仕事がわかってない、

とか言われていますが。

私は、

才能はない、努力しても最高の調律師にはなれない、

とわかっている主人公に、それでも他の選択肢を与えない、

(だから、話は何も起きないし、成長もないわけですが)

そんなところが大好きです。

世の多くの人は、そうやって生きているわけですからね。

無理やり、羊の話を持ってこなくても、

自分のどうしようもない能力と、真摯に向き合っていく主人公の姿だけで

十分、心を揺さぶれたと思うんですけどね。

それだけじゃ、小説にならないんですかねえ。

難しいですね。

静かな気持ちになりたい、

そんなときに読むといい本だと思います。